言葉の塔

「我が国」と「この国」

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国を愛するというときの「国」が何を指すのか、短絡的な議論をする前にもっと広くきちんと話し合うべきだと思う。
日本の風土、自然、人々の生活、文化を愛することと、国境線、軍事的イニシアティブ、政治の意志決定機構などの権力としての「日本」を守ろうとすることは、ときとして矛盾する。
後者を愛する人々は、徴兵制や核武装にも賛成かもしれない。
しかし、僕にとっては、それは日本に対する一つの破壊行為だ。
排他主義や軍事的な緊張を高めていきたい人はいいが、そうでない人はあまり愛国という言葉を使うべきではない、と考えるが、世間の五割の人は「愛国教育」是認派だという。
僕にはその気持ちがよくわからない。


愛国教育といったって、円周率を3と教えようなどというご立派なマインドと脳みそを持った文部なんとか省のお役人さまがその中身を考えて実行するのである。
つまりは、君が代、日の丸を強制して、それに反対する教員をパージするという方向がさらに進むだけである。
天皇陛下も、米長の指した一手に対して、君が代、日の丸を強制してくれるな、とおっしゃった。もっと自然に愛してほしいということだ。愛は強制されるものではない。強制されたものの多くは愛ではない。さすが天皇陛下はわかっていらっしゃる。


自殺者を3万人も出す政治を行っている人間たちが、一体子どもたちに何を教えるつもりでいるのか。


故山本夏彦は、「日本を我が国と言わずに、この国という呼び方をするヤツがいる。なんて卑怯で便利な言葉なのだ」という意味のことを言った。
僕はそれを読んだとき、山本氏の発言を美しいと思った。しかし、正直僕自身の中には我が国という言葉の感覚はなかった。今に至っては、ますます日本を「我が国」と呼ぶ気になれない。

しかし、最近、あきらかにナショナリストと思われる人物が、著書で日本を「この国」と呼んでいるのを発見した。「愛国者」にとっても、もはや日本は「この国」か。
勝手にしてくれ。
そうやって、自分の思惑に合わせて、みんなで「この国」をいいように蹴り回せばいいさ。
ワールドカップイヤーでもあるから、ブームに乗ってナショナリズムは大いに昂揚されるであろう。

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by murahiden | 2006-06-01 13:18 | ニュースの解読
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